村上春樹をめぐる冒険

ピーターキャット

村上春樹さんは'60年代後半に国分寺に住んでいました。経営していたジャズバー「ピーターキャット」もこのまちにあり、今回の崖線実踏はそのゆかりの場所をめぐるコースです。
イントロでは、村上春樹さんが住んできた東京の街の説明から。東京に移ってきて、都立家政、三鷹、国分寺、千駄ヶ谷、というふうに住居を変えていて、三鷹というのは、ICUに入ったガールフレンドがいたからだそう。 言われてみると、「羊をめぐる冒険」「ノルウェイの森」あたりに出てくる人物や情景に似た要素がありそうで、そのイメージが重なってきました。
小説の読み解き方として、テキストに書かれていることだけをもとにする方法と、その作家の前後の作品や人間関係、実際にあった出来事を合わせて読み解く方法とがあるなど言われたりしますが、 後者の方法からわかることも多いものだと改めて感じました。
ピーターキャットがあった場所で、名前の由来や、ふしぎの国のアリスに登場する猫のこと、またオオタさんが実際にピーターキャットに行った時の話、お店のマッチ(現物!)の披露などがありました。

三角地帯

後半は、村上春樹さんの国分寺の最初の住居へ。その前後に、安西水丸さんら関連する人の話や、参加者のみなさんの好きな村上作品の話をまじえて話したりしました。
お気に入りの作品を1つ挙げるという質問は難しいものでしたが、話のとっかかりとしては効果的でした。 個人的にはこのあたりの話し合いをもう少し掘り下げたら面白そうと思いましたが、それにはある程度、コンテクストのすり合わせが必要かも、とも思いました。
今回は村上春樹さんのいろいろなエピソードを知ることで、作品世界がまた身近に感じられるようになりました。 というか、これまで身近な感じがしたのは、作品がそもそもこの界隈から生まれたところが少なくなくて、今回はその理由がわかった、とも言えるのかもしれません。
そうそう、世界の終わり(高い壁に囲まれた、一角獣のいる街)のモデルがこんなところにあるなんて、というのも興味深かったです。

(横田)