学生時代:山下洋輔

桜の狂気?

ジャズピアニストは黒い靴ではなくて、うすいピンクの靴下に白いシューズで。山下洋輔はいつも白づくめ。 スポーティなスタイルで登場する。それも駆け足で!
この日は、府中市青少年吹奏楽団に客演。席数2000余をうずめたブラボーと拍手と共に、楽団員にとっても大変な感激です。

「今日はリラックスして弾けてよかったです」という彼のアンコール曲は「ボレロ」、再びのアンコールにはショパンの「別れの朝」で。

――パルテノン多摩や国立楽器ホールでのライブ等、多摩・武蔵野はホームグラウンドですか?

「そうなれたら嬉しいですね。ここ数年です、演奏の機会が多くなったのは。僕は国立音大だったし、最近は立川に住むようになって。 根づくことができたらね」

――モントリオールジャズフェスで評判だった「SAKURA」。大学通りの桜の木の下の思い出は?

「あの頃、桜にはいい思い出はないです。ほら、試験のシーズンでしょ。僕は作曲科だったんだけど、試験でピアノを弾くのは嫌いだったから。試験って決まったことをしなければいけないでしょ。それは苦手」
「桜は、変な言葉だけど気が変に。狂気の花です。最近はそんな性質が気に入るようになって。よみがえるっていうのかな・・・」

初のエッセー集、「ピアニストを撃て」から20数年。破天荒な弾きっぷりはアポロンのよう。

vol.27(1991年9-10月)より