紙ヒコーキ:春風亭柳昇/大久保橙青

落語といえば下町、長屋っていうイメージが強いですが、柳昇さんは、なんと武蔵野人なんですね。 人情や話のニュアンスはどうでしょう

春風亭柳昇(落語家・武蔵野市)

「三代住まなきゃ江戸っ子じゃない」って言うよね。 先祖代々、同じ所に住めば習慣や風俗、ほら、お祭りなんか、やり方は同じ。 それが、天災があったりで人々が移動すると異質なものになるよね。 だけど人情はいつでも、どこでも同じ。子どもが可愛いとか、親になれば誰だってそうでしょ。
私ん所は、武蔵野に住んで五代目だな。


平日の西武遊園地。緑蔭で吟行なんてステキですね。

大久保橙青(俳人・元労働大臣)

「自然に従い、自然に帰れ」とは、俳聖芭蕉の持論でした。そして又私たちの伝統俳句の心でもあります。 虚子先生は「武蔵野探勝会」と名付けて吟行を月一回弟子たちとされて散策を楽しまれたものです。武蔵野、いゝですネ――。 私の住んでいる青山は街中としては緑の多いところで、近くに根津美術館もあり若者好みの洒落たイメージの街ですが、 この武蔵野にはかないません。

葉桜の蔭より蔭へ遊園地 橙青

葉桜の木蔭が駅やお伽汽車 〃

vol.2(1987年6-7月)より