紙ヒコーキ:黒井千次/菅直人

青春まっ只中の明史と棗の背景を武蔵野の四季が彩った「春の道標」、すてきでした。

黒井千次(作家・小金井市)

数年前から、武蔵野を舞台にする短編小説を書き始めた。 「たまらん坂」という国立にある坂の由来を知りたいと思ったのがきっかけだったが、それはすぐ「お鷹の道」にも飛び火した。

そして坂の道の名にも限らず、この附近の一帯は土地そのものが不思議に心をそそることにあらためて気がついた。

土地への関心は、当然そこで暮らす人々への興味を呼び起こす。そして土地の変貌は、人々の暮らしの移り変わりと深く結びついている。つまり、武蔵野は変わりつつあり、動いているのだ。

そんなことを考えながら、ようやく七つの短編を書きあげた。タイトルは「たまらん坂」に決め、「武蔵野短編集」と副題をそえることにした。 7月に福武書店から刊行される。武蔵野に住み、武蔵野を愛する方々に読んでいただけたら、こんな幸せなことはない。


政治は生活。政治家でいらっしゃる菅さんの、私生活もお元気ですか?

菅直人(衆議院議員)

三鷹、武蔵野に移り住んで25年、二人の息子は武蔵野に生まれ育った「武蔵野っ子」となりました。

この地域は玉川上水、井の頭公園、小金井公園など自然に恵まれています。

私は年一回、武蔵野マラソンに参加していますが、これは自分の体力テストというほかに武蔵野の緑の中を走る楽しさに魅かれてのことです。

武蔵野の地域は、私のように戦後移り住んできた人たちも多いのですが、市民の意識は大変高く、自立しかつ自発的で、「市民」と呼ぶに最もふさわしい人たちだと思います。

各市の市政もそういった人たちの参加によって活性化しています。
このような武蔵野が私は大好きです。

vol.7(1988年5-6月)より