中村農園さん訪問


2013年4月20日、らぶんじ農グループで国分寺市日吉町にある中村農園さんを訪問しました。参加者は8名です。
ご案内くださったのは、お子さんに自分で作った野菜を安心して食べさせたいと4年前IT企業を退社して就農されたという中村克之さん。サラリーマンだった頃の経験を活かして、HPやtwitter、Facebookなどで、野菜の栽培方法や販売状況、生産者の考え方などを紹介したり、より安心安全な栽培方法を導入したりと、生産農家としては新しい試みをされています。
当日の説明資料も用意してくださるなど、らぶんじのような農家と市民をつなぐ地域活動にもとても積極的な姿勢で、お忙しい時間を好意的にさいてくださいました。

直売所

まず、案内されたのはログハウスを用いた直売所。国分寺市農業経営改善計画推進事業の助成で設置したそうです。
農家さんはご高齢なかたも多いので、こういった直売所の助成があるのを知っても、手続きなどが面倒で手を出さない場合もあるので、そういった手続きのお手伝いなどもあるといいかもしれないという、ご提案もありました。

おいしい野菜作りの工夫

路地農園ではグリーンガードというパナソニックが開発した防蛾灯によって、夜活動をする蛾を昼と勘違いさせて行動を抑止。これによって農薬を1/5くらいに減らす事ができたそうです。
この他に中村農園では、米ぬかをベースとした有機肥料や学校給食の残さいを元にした堆肥を多用すること、連作障害をなくすこと、農薬を減らし植物由来の薬剤を導入すること等に努めて、「おいしい」野菜作りを目指しているそうです。

次にビニールハウスです。9棟あり、都市農家としては大規模に生産していることがわかります。ここでは太陽光パネルを利用して、ハウス内の温度を保つために、自動的に換気・遮光カーテンの開閉ができる装置やろうそくを灯して暖房をとっていることなどを見学しました。

名産の東京ウドもこの時期栽培していて、穴のなかではなく、ビニールハウスのなかで遮光した箱にいれて栽培しているとのこと。直売をしているので、飽きられてしまわないよう野菜の種類は豊富に栽培しているそうです。

近いから新鮮

イチゴのハウスは2棟あり、高設栽培といって高い位置で栽培し、病害から守りつみ取りもしやすい農法を導入していました。こちらは農水省の園芸産地再生施設緊急リース事業という助成を利用して導入したということで、東京都では1件のみだそうです。こちらでもグリーンガードの他に、タフナレイという照明によるうどんこ病防止システムを利用していました。実際のうどんこ病も見せてもらい、カビの一種なのでその部分を洗い流したり、切り取ったりすれば食べられるが出荷はできないので、ジャムなどに利用するということを伺いました。

農薬を減らして栽培しているので、その場でつみ取って食べても大丈夫ということで赤くなっているイチゴを試食させてもらいました。栽培品種は紅ほっぺ。サクッとした食感があり、爽やかな酸味と甘味でとってもおいしいイチゴに参加者全員笑顔です。
消費地と産地が近いため完熟してから収穫できるので、新鮮でおいしいイチゴが届けられるということでした。いずれは、消費者参加のもぎ取りイベントなども考えたいとのことでした。

市民も参加できるしくみ

さらに、夏の間の草取りなどの援農ボランティアを一般の市民も参加できるシステムを考えたり、農ウォークのような生産者を訪ねるイベントなども考えたいという前向きなご意見をいただきました。 次は他の生産者何人かを集めての懇談会のようなことをしましょうという提案をいただき、帰りにイチゴとウドをそれぞれ購入し、閉会となりました。

農グループとしては初めて実際の農家を見学し、国分寺の農家がどういったものなのかを肌で感じ取ることができました。都市農家のメリット、デメリットを理解し、それをどう市民とつなげていくことができるのかそれぞれからアイディアを出し合っていくことが必要と感じました。

●データ●
○所在地:日吉町4-24-1
○経営面積:80a(ハウス9棟)
○労働力:家族4名、援農ボランティア6名
○ホームページ(国分寺中村農園):http://www.naks-farm.com/
○主な作物:江戸伝統野菜である東京ウドを中心に、春夏は枝豆やトウモロコシ、トマト、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、モロヘイヤ、ジャガイモ、玉ねぎ等、秋冬はキャベツ、ブロッコリー、大根、人参、カブ、ホウレンソウ、小松菜等多種多様な野菜作りを行っている
○主な取り引き先:生活クラブ生協、パルシステム東京、国立ファーム、エマリコ国立、ヤオコー立川若葉町店、国分寺市小学校給食、国分寺産直会、JAむさし直売センターなど
○パートナー:おたカフェ、ともしび工房(身体障害者通所授産施設)、ミルクトップ

レポート:鈴木佳子


あしあと