真夏の真昼の時間どろぼう:長野まゆみ

形あるものに想像をのせる

作家。二作目「野ばら」は今年度課題図書に選ばれています。
高校生からのファンレターが多いという長野まゆみさん。待ち合わせ場処に自転車で。
「ノーブレーキで乗るのが大好き!」なんて。ひゃあ!そんな!でも、そうかもしれないと話しているうちにうなずけました。

第一作の「少年アリス」で昭和63年度文藝賞受賞。目下四作目に取り組んでいる真っ最中。やはり、少年が主役になるらしい。
「私の目に見えてるものが書く舞台のベースなんですね。形のあるものに想像をのせる」
「文章と絵が同じなんです」

と言う女子美出身。絵の具を出すように言葉を出す彼女の原風景は、自宅近くの武蔵野公園とその湧水群です。

「真夏の真昼がいちばん大好き!」
と目を細めるとき、彼女は現実の向こう側に飛んで「時間をのみこむ」んだろうな。 のみこまれた時間がどんな風になるかは、「野ばら」を読むとわかります。
地元書店では平積みに。若い店長さんは彼女の大ファンです。

vol.20(1990年7-8月)より