一冊からの一歩:野口健

「自己表現がたまたま山だった」
 7大陸最高峰世界最年少登頂を成し遂げた野口健さん、なのに驚くほどさりげない。

 今、体験を子どもたちに話す旅の途中で、1月からは少年刑務所も回る予定です。

 15歳の頃、高校停学になった時に出会った一冊の本、植村直巳さんの『青春を山に賭けて』がすべてをプラスに変えた体験を、10年前の自分と等身大の彼らに伝えたいと、大きな瞳をまっすぐに向けて語ります。

「落ちこぼれと思い込んでもその後が大切。俺にはこれが!が見つかればいい。大人の作った価値観に巻き込まれないで」

 失敗をどう未来につなげるか。夢があるかないか、だと。

 春には卒業、そしてシェルパ基金の活動をスタート。エベレストのごみ清掃隊も出発、5年かけて徹底回収の予定です。

「体験を生かせればと、本を書きました。僕も本から始まったから」

野口健
亜細亜大学学生

vol.77(2000年1-2月)より