コミュニティの形

環境まちづくり

小倉:環境まちづくりが小金井市で実現できるのかを、セッションのテーマに挙げたい。環境のまちというものをどういう風に捉えているのか。社会学者の視点からは、小金井市のまちづくりはどう見えるのか。

加藤:小金井市は、素晴らしい個人・ネットワークがあるが、たこつぼ化しがちで、せっかくいいことをしていてもほとんどの人にとっては見えない。市役所側の広報に期待しても、行政もいろんなことができるわけではない。掲示板も一杯一杯。行政の担当者は2・3年で変わるし、市民団体のメンバーも流動している。途中から入ってもわからないし、ついて行けない人もいっぱいいるということを意識して、どういうルールにするのか。町が繋がっていないという残念さはある。

小倉:コミュニケーションというキーワードがでてきたが、ある程度大きなメディアには載っているのに、地域の人は知らないという状況ができている。明珍さんは、やや大きめのメディアの人間だが、これについては普段どう考え、どうつなげたらよいと考えているか。

明珍:メディアを通じて、どのような形でみなさんに情報を提供していくかが課題。今は新聞をとっていなくてもネットで検索できるが、そういう視点があるということもなかなか伝わっていかない。一つはみなさんが忙しすぎるという事もあるかもしれないが、私たちの伝え方にも問題があるかもしれない。できるだけ分かり易く、見える形でやっていきたい。今は、ソーシャルメディア・ブログを活用したり、こうしたイベントでつながったりしていくことも大事で、市民の活動や地域の動きをきめ細かくつないでいくことが私たちの使命と考えている。

安田:地域の情報がつながっていないということについて、長島さんにうかがいたい。

長島:どこの地域でも、地域と行政・企業などのステークホルダとの関係は、なかなかうまくやっているところは少ない。
引っ越しをしようと思うことがある。若い頃は安いところ、教育がしっかりしたところで選んでいたが、新興住宅地で隣近所との付き合いがないので、コミュニティの力のある素敵な街に引っ越してみたいと思っている。小平は、行政力も企業もそれほどなく、核となる駅も無いが、行くと企業・行政・商工会・市民・農家が一緒になって会話をしていて、そういうところが素敵だと思った。もう一つは、三鷹の街を見たときで、杏林大学の先生や町医者の方、市民の方がフラットに対話していた。

安田:風通しのよい町の要因は何か。

長島:中心になる人は色んな立場の人がいるが、周りの人の事が良く見えながらお話しできる人で、若い人や、お年寄り、行政など様々なパタンがある。一人の人がやっているわけではないが、中心になる人がいて、そういう人を増やしていける環境が大事。

小倉:高橋さんは、どんな風に小金井のまちづくりをみているか。

高橋:環境基本条例の策定委員をさせていただいたが、そのときに思ったのは、いくらよいことをやっていても横のつながりがないとエネルギーを消費してつぶれてしまうため、事務局を作ってほしいということで、環境市民会議を立ち上げた。環境計画のときに出来上がって、今機能してる。
私は小金井の中で「食育」を進めているが、それも同じように、知らしめるという部分で事務局体制をどうするかが課題。何でも鑑定団in小金井、さよなら公会堂祭り、キャンドルナイト、イタリアキッチンなど企画を運営してきたが、町全体に広まっていって、みんなで企画して会合ができているかというと、そこまではいっていない。自治体に頼らず、町会単位でコミュニティを改善して横のつながりを作っていけると良い。

地域の特性

小倉:人も情報もイベントもあるが、出会う場所がなく、いいことをやる人が増える土台になるものが見えていない。その基盤になるところは、議会・町内会等色々あると思うが、西岡さんにうかがいたい。

西岡:都議会議員の西岡です。今日は、東京都のモデル事業として、雨風ハウスを通じて様々なネットワークが構築されており、その現場を見たくて来た。

小倉:地域で環境行政を営んでいくためには、コミュニティが不可欠だということが、実際に運営していてよくわかった。東京都は、自治体に対してはどんなものを期待しているか。

西岡:東京都がこうでなければならないということではない。コミュニティは地域の特性であり、形はない。小金井の町は地元に長く住んでいる方と、途中からの方などいくつか分かれているが、住んだ長さではなく心で繋がってほしい。小金井の市民は高い目的意識を持っているが住民が多様化しているからか、すばらしい理念等があってもなかなか広がっていかない。

小倉:コミュニティは、基盤になることができるのか。

土肥:墨田区は町内会ベースで取り組んでいて、行政と密接な人間関係を作っており、余所者のNPOは入れない。地域によってカルチャーが違う。小金井は、商工会、JAなど実際に現場で働いている方が中心になっている。多様なコミュニケーションをどうつないでいくかが重要であって、誰が基盤になるかは重要ではなく、その組織が適切であればよい。まずは会話ができることで、どうやったら行政とうまくやれるのかが課題。鍵を握るのは多様性だと思う。組織内部でいろんな意見があれば、簡単には倒れなくなる。

小倉:小金井にはいくつかのコミュニティがあるが、昔からのものと、新しいものを、どうやってつなげたらよいか。

高橋:「食育」には、文化を含めてすべてが入ってくる。環境も含めて、人として元気に生まれて育って亡くなるまで、食を中心にいろんなことが勉強できる。自分で食材を選べる知識を持つかが大事。小金井に住む人すべての方にかかわってくることなので、事業の中で知り合って経験を積んで広げていくことが大事。まずは食育基本条例を制定させるのが一番手っ取り早いのではないかと思うが、議長いかがでしょうか。

野見山:「食育」については、ほとんどの議員が前向きに検討している。問題は、条例の文書にするだけでなくて、どれだけ中身のあるものにしていくかが大事。

小倉:ライフラボの代表の安達さんはデモデモカフェの責任者でもあるが、何かコメントはあるか。

安達:ぜひ、「食育」でがっちりとつながっていければと思う。これまでは、日常の実務に追われて、なかなか繋がっていく機会が無かった。

野口:一つ付け加えると、デモデモカフェではゼロゴミとなるメニューを出している。環境配慮型モデルハウスのカフェは暮らし方を提案し、「食育」をテーマにしている。

野見山: 条例の制定は、12月を予定している。