経緯と現状

雨風ハウスができるまで

小倉:雨デモ風デモライフラボの今の状況を、コンパクトにお話いただきたい。

土肥:きっかけは、小金井市にGN(NPOグリーンネックレス)が提案した。小金井市の応募採択されたのが、平成21年12月。平成22年の2月に市民公募され、公募市民による企画検討を3回経て、結果的には現在の場所を市が取得し、エクセルギーシステムを核にした住宅モデルが生まれた。

運営については、基本的には推進協議会を作るということが小金井市の計画として決まっていた。協議会を作り、その事業部門の一つとして、この場所をマネジメントする事業体を作ればよいという提案をした。その事業体を動かす実行組織を立ち上げるため、「低炭素ライフステーション準備会」を市民が協力し合って立ち上げた。準備会で何十回という議論を重ねて設計・検証計画等を決定してきた。

平成22年4月22日に、土谷建築研究所が受注したが設計が出来ないという話になった。なぜかというと、予算の額600万のものを250万で落札した結果、もともと環境関係の技術を持っていないところだったため、実際にどうやったら設計できるかを協議して、追加予算をとってやるという話になった。本来ならプロポーザルにしてほしかったが、市の手続上間に合わないという話で、競争入札になった。仕様にどこまで細かく書くかということが重要で、十分に準備ができていなかったのではないかというのが、土谷建築研究所の見解。

建築とライフスタイルを結びつける

建築工事は3月18日に始まり、工事管理については、土谷建築研究所が行ったが、設計の細部はほとんど我々がやっている。こうして建物ができていく中で、準備会から、本格的に実行する組織として運営管理も含めてやっていくため、「雨デモ風デモライフラボ」が立ち上がった。本当に重要なのは、建築とライフスタイルを具体的に結び付けることで、管理するだけでは駄目。今回、東京都の新しい公共支援事業に応募して、環境配慮型ライフスタイル普及のための「雨風ブック」のようなものが作れるようになった。 現状で我々が困っているのは、条例の施行が遅れて施設の細則が決まっていないので、施設が閉鎖されていて宙ぶらりんな状態にあること。企画の半分くらいが展望が取りにくくなって苦慮している。だからといって市が悪いというわけではない。問題提起として、3つのことを考えたい。市民・NPO・行政の実りあるコミュニケーションをどうとったらよいか。持続可能な市民活動的なボランティア的活動と、運営のための収益を上げていく活動をどうやってうまくマッチングさせたらよいのか。新しいアイデアを実現させる資金をどう確保していけばよいか。この3つのことを考えていきたい。